新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

タリバンは一枚岩ではない

アフガニスタンの首都カブールを制し、政権をとったタリバンですが、タリバンの指揮の下で行動した集団にはタリバン中枢とは考えの違う集団がいる様です。

タリバン自体は、イスラム原理主義アフガニスタン内で行うのが目的という話も聞きます。国外にタリバンの勢力を拡げていくとか、他のイスラム圏での欧米の影響力を排除するとか、そういう考えは無いと。
とするなら、アルカイダやISとは敵対している、というのは理解できます。
しかし、兵力6万とも言われるタリバンには、ハッカニネットワークという過激派武装組織が入っています。この組織はテロ組織で、フランス等でもテロをガンガンやっていて、アルカイダと緊密な関係だと言われています。
カブールの治安を、このハッカニネットワークが任されているとの話がありますが、今後アルカイダ系戦闘員をドンドン集め、何かやりはしないでしょうか。
政権は手に出来なかったとしても、この組織をはじめ、色々な過激派の拠点にされては、世界はたまったものではありません。
ビンラディンを匿った事で、アメリカから攻撃を受けてタリバン第一次政権は崩壊しましたから、アフガニスタンがテロ組織の温床になって2度目の悪夢を見るのはゴメンでしょう。となると、タリバンとの武力衝突が起こるでしょう。

アフガニスタンには、ISホラサン州というISの支部があり、この集団が「戦闘員が爆弾ベルトを爆発させた」のでしょう。ISが犯行声明を出していましたから、自爆したのはこの集団のメンバーでしょうね。
この集団が、今回タリバンの指揮下でカブールに攻め込んだかは分かりませんが、元々敵対してはいたのですから、タリバンはこの先どうするんだろう、と思います。

タリバン第一次政権の時代、タリバンウイグル東トルキスタンイスラム運動(ETIM)に支援していたそうです。
第一次政権時代の1999年、中国共産党接触を始め、ETIMへの支援は続けたものの、積極的ではなくなりました。
2001年の政権崩壊から20年間少しづつ回復して行ったタリバンですが、その間に外国資本が入って来ました。
外国資本の企業に、度々テロが行われていましたが、中国資本の企業にはあまり行われなかったそうです。
中共は、タリバンにかなりな援助をしていたんでしょうね。それで中国資本の企業は被害が少なかったのでしょう。
タリバンは一枚岩ではないので、「中国?そんなもの関係あるかいっ!」って連中も居るという事ではありますが、それでも中国企業の被害は少なかった。
今回、中国はいち早くタリバンを推しましたが、かなりな支援をしているのでしょう。
ただし、何度も言いますがタリバンは一枚岩ではないので、今後ウイグルに手を突っ込まざるを得なくなるかもしれません。
元々はウイグルを支援していたのですから、国内体制がしっかりしてくれば、ウイグルを利用して中国を困らせるかも。

アフガニスタンが騒がしいと、隣国のカザフスタンタジキスタンまで騒々しくなるでしょう。
カザフやタジクを拠点に、アフガンへ行って暴れては戻って来るなんて事をされれば、大迷惑ですし、IS系とかアルカイダ系にアフガンが取って代わられたなら、ロシアの影響を排除せよとばかりに、カザフやタジクに手を出して来るのは目に見えています。
ウイグルにも当然行くでしょう。
中共は大変ですが、ロシアはもっと大変かもしれません。
ここ3年間、ロシアはタリバンと会談を続けていて、その成果なのか、ロシア人やアフガン人関係者が空港へ入る為のバスを、タリバン兵が護衛したそうです。
ロシアは、タリバンをテロ組織認定から外していませんが、それでもそういう事ができるのですから、世界はしたたかです。
これは、役人も動くから出来る事であり、政治家だけでは出来る事ではありません。

日本は、政治家の劣化甚だしいと言われますが、役人はそれ以上かもしれませんね。
こんな時に、「一人しか救出出来ないってどういう事だ!」とか叫んでる野党の大幹部がいますが、来たる衆議院議員選挙用の発言だろ、あんた。
なんなんだ、いったい!