新兵衛の覚え書き

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アゾフ大隊とロシアの侵略

アゾフ大隊……現在はアゾフ連隊が通称となっていますが、何故か大隊と言う人が多いです。
国家親衛隊に属する組織であり、民間の組織ではないので、ウクライナ自体が極右……ネオナチに牛耳られているかの様な事を発信している人達もいますが、極右集団なら何でもネオナチと言ってしまうのはどうかしています。
確かに、極右といえば民族主義が強いのですが、ウクライナを観た場合に、ロシア語で生活している人達でも「自分はウクライナ国人!」としてアゾフ連隊に所属してロシアと戦っていますから、アゾフ大隊はネオナチだと言ってる人には注意が必要かと思います。

ウクライナ語とロシア語では、意思疎通は結構大変らしいです。
日本に例えるなら、バリバリの津軽弁の人と話してるみたいなものだとか。
ウクライナの東南部や南部は、大量に移住して来たロシア人の影響で、この地域のウクライナ人達にもロシア語話者になった人が多いそうです。
民族の定義に確定したものは無い様ですが、民族を構成する条件の一つに言語があげられます。
ウクライナにおいて、ウクライナ語とロシア語を話す集団がありますから、異なる民族の大集団が存在している事になりますが、アゾフ連隊はゴッチャです。ウクライナに移住して来たロシア人の子孫でロシア語話者であっても、アゾフ連隊に参加している人達が沢山いるそうなので、アゾフ連隊が現在も極右思想の持ち主達で構成されていたとしても、バリバリの民族主義の集団とは言えないでしょうね。
ナチスゲルマン民族主義でしたが、アゾフ連隊に所属する人々はどうなんでしょう。ウクライナ国人以外を排外しようとする思想なんでしょうか。
言語は違えど、ウクライナ国人であればウクライナ民族とし、ウクライナ民族以外に排外的なんでしょうか。
ネオナチと呼ばれるものには、元のナチズムとはかなり違うものも存在している様ですが、基本は部外者にたいする排外が強いという事になろうかと。
しかし、ネオナチを濫用する傾向も世間にはあります。
ロシアは、ウクライナの「非ネオナチ化」を侵略の理由に揚げるという変化を見せています。これはレッテルを貼っているに過ぎないでしょうね。
なんでもネオナチと呼べは自分が正当化できるはずもなし。

力で独立しようとしたら、極右であろうがなかろうが、力で阻止されるのは世界共通と言って良く、昔も今も変わりません。日本だって死刑になりかねない行いです。
マイダン革命は、親EU派というか反ロシア派の内の武力集団の主導によるものですから、やった事自体は共産主義者達と変わりませんし、やっちゃ不味い事です。しかし、ウクライナの1地域で独立しようとしたわけではありません。ロシアに牛耳られて行くのはゴメンだ!でしょ?あれって。
2008年だったかなあ、ジョージアでの南オセチアの件での争いで、これを許せば次はウクライナだってんで、ウクライナから義勇兵が駆け付けていましたから、マイダン革命の暴挙もウクライナの人々には複雑な思いがあったでしょうね。

アゾフ連隊の前身であるアゾフ大隊は、当初は民間集団でした。オリガルヒと呼ばれる新興財閥が資金援助して出来た集団です。
オリガルヒは政界に物凄い力を持つので、創設後程なく国家機関に組み込まれて行きます。国は、アゾフ大隊や他の大隊を組み込みながら、非政治化して行きました。創始者で、極右と言われる人物達は、この集団から切り離されて行きます。
しかし、アゾフ大隊等を構成する兵士達は、自国を防衛する為なら荒っぽい事も辞さない人が多いという事です。

アゾフ大隊が結成された当初の中心メンバーは、ハルキウに在るサッカーチームの応援集団の一つだったそうです。この応援集団をウルトラスと呼ぶそうですが、ウルトラスは幾つも在り、その中の一つがアゾフ大隊の中心を成したとの事。
ウルトラスの特徴は、どの集団も自国への想いが強いそうです。その中でも、戦闘に身を投じても構わない思いが強い集団がアゾフ大隊の中心を成したと。
イギリスのフーリガンといえば、素行が荒いと聞きますが、ウルトラスも荒い集団が多いとの事。そんな人達ですから、分離独立派と見れば、頭に血が昇りやすいのでしょうね。
スラブ人自体、争いになると残酷になってしまう人が結構居るとも聞きます。
第二次世界大戦時のバルカン半島での状況に、ナチス親衛隊の司令官の一人が、「もう嫌だ」と泣き言を言ったぐらい凄いのだとか。

閑話休題、アゾフ大隊(現連隊)をネオナチだと非難している人達に言いたいですが、アゾフ大隊がネオナチ集団かどうかは別の話で、ロシアがウクライナを侵略している事は正当化できません。プーチンが攻め込んだのは仕方ないとか、何を言ってるんでしょう。
ウクライナにおいて、分離独立派が武力で騒ぐ事がなく、ウクライナの極右が、親ロシア派を気に食わないとばかりに虐待して歩いていたなら、それはそれでやり様があったでしょうに。
なのに、クリミア半島を侵略して経済制裁を喰らうって、何をやってんでしょう。

国境線は力で変わる、そう公言する隣国が有るのに、ロシアのこの侵略を擁護するとか、何を考えてるんでしょう。