新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

値上げの許容度は高まってる?

大多数の人は、「このぐらいの値上げは仕方ないよね」とさえ思ってないでしょう。
上がらないに越したことはない、そう思ってる人が大多数でしょう。

正規雇用されてる人なら、給料が上がって来るまで何とかしのげるかもしれません。
しかし、随分増えてしまった非正規雇用の人にはたまったものではありません。

日銀は、自ら政策を決めて自ら行っているというわけではありません。
政策は政府が決めるのであり、政府が決めた政策を行う手段を日銀が決めて行うのであり、手段は日銀に任されています。
政府の方針は「インフレ」です。日銀は、政府の方針に従わねばなりませんから、経済がインフレになるよう日銀の行える範囲で仕事をするわけです。仕事のやり方は日銀の自由で、これを日銀の独立性と言って良いのですが、政策自体まで日銀独自で決められると思っている人もいる様ですが、それはマスコミのセイでしょうね。
国民に選ばれたワケではない日銀の者が、政策を決めて良いわけありませんのに、完全独立してるみたいに思わせるマスコミは、悪辣と言えます。
何故そんな風に思わせる様に報道するかといえば、「安倍の独裁がー!」を国民に植え付けたいから。

日銀は、政府の方針に従ってインフレを目指しています。緩やかなインフレの継続を目指しているのですが、インフレですから物価が上がって行くという事であり、物価が上がらなければ政府の方針に応える事はできません。
政府の方針に従わなければならない日銀ですから、物価が下がって行くよう金融調整するなんて事は出来ないのです。
当然、家庭に一気に負担が掛かるとか負担が長期間掛かったままにならない事は考えて仕事をするでしょう。しかし、日銀の仕事は政府の方針である「インフレ」を作り出す事ですから、物の値上りは付いて回ります。
このまま物価は上がりません、なんて言ったら仕事しろ!、となってしまいます。

さて、この度の日銀総裁の「値上げの許容度が高まった」発言ですが、日銀総裁の立場からすれば、値上げされた物であっても消費する家庭が増えるだろう、という分析を述べただけかと思います。
でも、何を分析しての仮説なんだろう、とは思ってしまいます。

調査で、日頃利用していた店が値上げしたら他の店へ行く、そういう人の割合が去年は多かったのに、今年は店を変えない人の割合が多かったからというのと、コロナ自粛で支出を控えた為に貯まったお金(強制貯金と表現)を、物価が上がっているにもかかわらず今後使うと予想し、「値上げの許容度が高まった」との仮説を立てた様です。
何でこんな表現をしたのか考えてみるに、「インフレ=物価上昇だからそんなの嫌だ、だけど景気良くしろ」という考えから脱してくれ始めたのではないか、という思いから「許容度が高まった」と言ってしまったんだろうかなあ、と。

なかなか緩やかなインフレに乗らないままでのウクライナ危機。景気が悪いまま何十年も経つので、皆さん消費を抑えたままなところにウクライナ危機。
値上げしても他の店に行かないのは、他の店も値上げするから他の店までワザワザ行く必要がない、という事。
『強制貯金』の使用も、景気が悪いままでの値上げに対する「貯金の切り崩し」感覚での使用でしかないのではなかろうか。

「値上げの許容度が高まった」と言われたら、そりゃあ大多数は怒るだろうなあ。
だけど、緩やかなインフレが景気を良くして行き、給料も上がって行くという考えを否定した上で批判する人は、いかがなものかと。