新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

金縛り

金縛りは心霊現象などではない、という話は聞きます。医学的にキッチリ説明が出来るそうです。
簡単に言うなら、睡眠状態によって起こるのだと。

学生時代、学生が多いアパートに住んでいました。2階建ての、廊下の両側に部屋が並ぶアパートでしたが、2階に住む後輩(私は1階)にシバシバ金縛りに合う者が居ました。
アパートに4・5年住んでいる社会人いわく、「あの部屋に前に住んでいた奴も金縛りに合ってたよ」と。
後輩は1年程でアパートを出ましたが、その後に入った者(これも後輩)も、人生初の金縛りに合うや、しばしば金縛りに合う様になりました。
恐がるからと、金縛りの話は一切聞かせていなかったんですが、金縛りに合うようになった話を向こうからして来たので、「そういえば、前の奴もそんな事言ってたなあ」と応じると、「部屋に何かしら原因があるのかなあ」と真剣な様子でしたが、後日魔除けグッズ(坪だったかなあ)を部屋に置いたところ、金縛りは止まったと。

引っ越した方の後輩がしていた話はちょっと恐いのですが、子供の霊らしきものに縛られるという話。
後輩いわく、自分で金縛りを解けるようになった、と。指先から徐々に動かして行けば解けると言うのですが、これは『睡眠麻痺』というものでしょうか。
ところが、解けない金縛りもあると言うのです。
最初、パタパタと廊下を走る音に目を覚まし、「大家の孫だろうか、こんな時間に遊ばせるなよ」とか思いながら、再び寝ようとしたところ、廊下を走り回っていた足音が部屋の前で止まったのに気付いた後輩は、その直後に何かが部屋に入って来るのを感じたと。
ドアの鍵は掛けてあるので、開ける事はできないはずです。というか、ドアを開けて入って来た者はおりませんのに、誰かが入って来たのです。
「えっ!」、後輩は瞬時に幽霊だと思ったそうです。
恐くて目を瞑っていましたが、まもなく身体に重さを感じて動けなくなったそうです。
夢かもしれないと願いつつ、いつも通りに指先から動かしてみようと試むも、まったく動かないままだったそうです。
「ヒエ~~」と恐れおののいていましたが、少しして重みは消えて動けるようになったそうですが、これが本当の金縛りかあ、と思ったと。

後輩はその後も金縛りに合い続けます。金縛りは解けない時の方がかなり多かったようですが、解ける金縛りにもそれなりに合っているのですから、身体自体に何かしら異常が有ったのかもしれません。
でも、他の人もその部屋で金縛りに合うようになるのですから、その部屋は霊道でも通っていたんでしょうかね。
さて、子供らしき霊のその後なのですが、もう一度やって来ます。

パタパタ廊下を走る音に、後輩は目を覚まします。
そして同じく足音が部屋の前で止まります。「うわっ、嫌だなあ」と思いながらドアに背を向ける体制に変えたのですが、何者かはやはり部屋に入って来ました。勿論ドアなど開けずに。
今まで、横向きに寝ていて金縛りに合った事はないし、背を向けてるし、そのまま居なくなってくれと願ったのもつかの間、上から肩を押さえつけられたのだと。
「痛かった」そうです。痛みを感じるほどの霊現象を起こせる霊って……恐すぎ~。
押さえつけられた後輩は、霊聴も経験したのです。
押さえつけた上から「アハハハ」という子供の笑い声が聴こえたのでした。
笑い声が聴こえた後まもなく霊は部屋を出て行ったとの事。
その後子供霊は現れなかったそうで、それからだんだん金縛りにも合わなくなっていった後輩でありました。
でも、その後部屋に引っ越して来た者も金縛りに合うようになったわけですから、やはりあの部屋は何かあったんだろうな、と思うのです。

「金縛りは睡眠麻痺です、はい論破」と言い切っちゃう人、「???」な事ってあるんですよ~。