新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

首里城が焼けてしまいました

1990年代に再建された首里城が、ほぼ全焼だということです。
口の悪い人なら、琉球当時に建てられたものじゃあるまいし、なんてな事を言うんでしょうが、人の気持ちってそんな事では収まりつかないんです。

琉球では領民への仕打ちが惨かった様で、首里城は民を苦しめた象徴だと思う人もいるかもしれませんが、沖縄県民は首里城が焼失してしまった事を悲しんでいるのではないかと思います。
首里城は形有る沖縄の歴史のひとつであり、先祖代々生きて来た証のひとつであるので、島民の昔がどうであれ、続いて来たものの証が滅するのは、たとえ再建されたものだとしても寂しく悲しくなると思います。
そういう感覚に乏しい人は、主義主張で簡単に破壊や虐殺を行える人なのではないか、と思ってしまいます。

強者どもの夢の跡…なんてな表現がありますが、強者どもの夢に大変な迷惑を被ったのは、大多数である庶民です。
その庶民が、支配者が君臨した建造物や建造物跡に思いを馳せながら見物して歩きますよね。
その時に、「くっそー、御先祖様をさんざん苦しめやがって!こんなもの亡くなってしまえ!」などとカッカカッカ怒りながら歩く人はほとんどいないでしょう。
考古学だの歴史学だのがありますが、それを知って何が役に立つんでしょう。昔を知り現在に活かす事を見つける、みたいに言う人もいますが、大抵の人は単に知りたいでしかありません。
何故知りたいんでしょう。考えてみると「何故?」となってしまう不思議な感覚であり、理論付けて説明できる人は…まあ居るんでしょうが、大抵は「理屈じゃない」となるかと思います。

自分が生まれる遥か昔のものであるのに、建造物であろうが資料であろうが失われると、心にポッカリ穴があいた様になるのは何故なんでしょう。
それを「こうだああだ」と私に表現する力はありませんが、表現できなくても悲しいものは悲しいのだから仕方ありません。

首里城が再建されますよう祈ります。