新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

お伊勢参りと「おかげ犬」

江戸時代、庶民の間でもお伊勢参りが周期的にブームになったそうです。
1830年辺りのブーム時には、延べ470万人ぐらいが参ったそうですから、当時の人口(3200万人)の1割を超えています。

伊勢参りは「お陰参り」とも言いますが、なんと「おかげ犬」というのがいたそうです。
「おかげ参り」ということから「おかげ犬」と呼ばれる様になったんだと。
飼い主が参る事が出来ない為、犬が代わりに参ったんだそうです、単独で。
そんなのは作り話だ、と言いたくなる話です。

ところが、アチコチの役所の記録…公文書にも幾つも出て来るそうです、おかげ犬が通った、と。
役所というか関所の記録だそうです。

犬の身体にお金などをくくりつけ、お伊勢様に行かせたのだと。
路銀や御札の代金や、飼い主が誰であるか分かる様にしていたのでした。
宿場には、おかげ犬が泊まる場所まであつらえてある処もあったそうです、食べ物も給されたとか。
お金を盗られる犬もいたそうですが、そういう事は稀だったそうで、治安が良くて平和だったんですね、江戸時代は。
おかげ犬は、無事お参りを済ませ、御札を頂いて飼い主の下へ帰って来たというのですからビックリ。
どのくらい帰って来たのかは分かりませんが、そういう事があったんだそうな。
飼い主のお供でお参りした経験のある犬達だったんですかね。
現代の科学でも証明できない、飼い主と犬がやり取りできる不思議な力が働いていたんでしょうか。飼い主が心に描く映像を、犬が受け取る事が出きたのかも。

本当の話かどうか今となっては確認出来ませんが、お伊勢参りが周期的ブームになるという事は、祀られている天照大御神の子孫である天皇の存在も、庶民は認識していたと思って良いかと。
現在の家庭では、神話やら昔々日本で起きた事などの話はほとんど出て来ないとも聞きますが、60代以上の人は父母や祖父母からチョクチョク話が出ていたのを覚えている人もいるでしょう。
私個人としては、話が出なくなった現代って、何か乾燥した世の中に感じるのです。