新兵衛の覚え書き

見た聞いた読んだ浮かんだ思い出した……を書き留めています。

ウガンダ女性の難民認定

3月23日に、ウガンダの議会で同性愛禁止に関する法案が通りました。

これに大統領が30日以内にサインすれば施行となるところでしたが、サインはされませんでした。

大統領も、本心はサインしたかったのだろうけれど、国連始め、ウガンダの経済への影響力の強い国々からの強い批判を浴び、施行すれば大打撃を被るのは目に見えている為、サインしなかったのだと思われます。

しかし、国民の96%は同性愛禁止の法律に賛成な国なので、国民を抑える為のシナリオが有った様です。

憲法には、法案を提出する側に法律家でもある議員が一定数居なければならない、となっているとか。

憲法裁判所からは憲法違反になる、と指摘され、最高裁判所もそれに乗っかり、この法律は無しとなりました。

30日以内という大統領のサイン期限が来る前に、ウガンダの女性の難民申請が認められたのでした。

大統領のサインがされるかされないかを見てから、難民認定しても良かったのでは、という意見はあるでしょうが、事はそう簡単ではないのです。

 

ウガンダでは、過去毎回同性愛禁止の法案が提出され、2013年には1度成立しているそうです。しかし、外圧の為に廃止になったとか。ゲイの人が殺される事件があり、それが大きく影響した様です。

なのに、その後も毎回法案が提出され、今回は大統領のサインを待つだけにまで行っていました。

ウガンダ女性の申請が却下されて送還され、ウガンダで法律が成立したら、この女性は死刑になる可能性がありました。

同性愛を改めない者は重加罰をかせられる為、難民認定の判断を下したものと思います。

 

今回の、大統領がサインしなかった法律は、ウガンダに同性愛の居場所は無くなると言って良いものでした。該当者はおろか、擁護する者も支援団体も最低10年の服役とされていました。アウティングしない者も同じ様な罰があたえられるとされていました。

当該ウガンダ女性が、実際にウガンダの警察に連行されて暴力を受けた、という本人の話が本当かどうかは判りませんし、同性愛者という事も本当なのかは判りませんが、それが本当だったなら、送還したら死刑の可能性があったでしょう。

しかし、そのうちに「バレたら捕まる、死刑になる」という理由での申請者がドンドン出て来るかもしれません。切がなくなったりして。

 

ウガンダの同性愛に対する考え方は、実は近代になって現在の様になったものです。それ以前は、同性愛を禁ずるような文化は無かったそうです。

織田信長に仕えた森蘭丸という小姓が有名ですが、ウガンダに在った王国の王様も、男子に夜伽をさせていたとの事。

客の接待でも、男子を充てがう事もされて来たといいますから、「同性愛者への迫害……何それ?」という土地柄だった様です。

それが変わってしまったのは、植民地化によるものでした。

植民地になって行く前程に、キリスト教の布教というのがあります。ウガンダの辺りにもキリスト教が広まって行くにしたがい、同性による性交はされなくなって行きます。

王様に仕えるクリスチャンとなっていた男子に、王様は夜伽を命じるのですが、信仰を理由に断られ、頭に来た王様がクリスチャンを迫害する行動に出たとか。

まあ、ウガンダ辺りは同性愛は問題にならない土地だったとの事。

それが、キリスト教が広まり、1894年に保護化(植民地化)された事でイングランドの教育が持ち込まれ、同性愛は排除されるに至りました。

ウガンダの宗教分布は、キリスト教85%でイスラム教12%。この2つで97%になります。イスラム教も同性愛はダメですから、国民の96%が同性愛排除を望むのは、当然の数字ですね。

 

ウガンダからすれば、「俺達は元々は同性愛を問題にしない文化だったのに、お前達が排除の文化にしてしまったんだろうが。今更何を勝手な事言ってるんだ!」でしょうね。

 

因みに、エイズは性交による感染が顕著なのですが、ゲイの性交は感染拡大に一役かっています。

ウガンダの大統領は、エイズ感染の対策で実績の有る人ゆえに、かれが信仰を混じえて同性愛排除を叫べば、同性愛者や支援者や支援団体は、尽く抹殺されかねません。

信仰を抜きにしても、エイズへの恐れの矛先が同性愛者に向いてしまうという、『思想LGBT』など消し飛んでしまう、過酷な状態にあるのがアフリカと言えるでしょう。

 

因みの因み。

イギリスは、第二次世界大戦後も同性愛が禁止されていたのです。禁止取締という考えの無い、当然そんな法律のない、「お好きにどうぞ」の日本とはまるで違うのでした。

外国では、同性愛者排除の文化が根強いのでしょうね、『差別』を殊更デカい声で叫ばないとならない様です。

それを日本に持ち込みやがってよお、いい迷惑だかな。